01 全部食べるについて  
   
01 全部食べるについて

もう何10年も前のことだが、「日本の食品系廃棄物は、食品系総輸入量に匹敵する」との論文を読んだ。原資料は失ったし、どういう基準の計算なのかも記憶にない。要は、「食料自給力」について常に危険領域にある日本が、それを補う輸入量に匹敵する、食料を「棄てている」、ということである。(私は学術的でなく、記憶からの「感覚」として記している。大筋は間違いないと思うが、正確な数値は読者ご自身で調べてみて下さい)

これはどういうことかというと、
1.日本が封鎖されると「国民は飢える」
2.しかし、棄てているものを全部食えば、生き延びることができる、かもしれない
(棄てているものの中には、棄てざるを得ないものがあると思う。例えば里芋の皮、栗の外皮、籾などは、さすがの私も食えない)(私はこのページであえて「食う」「食えない」の言葉を使う。「食べられる」「食べられない」では私が伝えようとするには弱い)

当然ながら「食料自給率」は、国民の生存・安全に、基幹となる指標である。しかしこの面でも、
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」

「公正と信義」に(を?)「信頼する」のはこっちの勝手だが、相手がどう思うかは相手の都合である。実際に貿易上の「制裁」は、常にやり合われている。(最近、日本も韓国に対してやった。韓国は日本商品「不買運動」で反撃した)

「制裁」の意志はなくとも輸出国自体の凶作や自国消費量の増加で、輸出余力がなくなることもあるだろう。「無い袖は振れない」。(直近では、生産できない自動車工場がある。部品不足によるという。半導体メーカーに悪意がある訳でない、供給能力が、必要に足りないのだ。「無い袖は振れない」のだ)

「食料」は、武力としての「防衛能力」以上に、国・国民の生存に、必須のものと思う。しかし「九条」のようには話題にならない。野党もまったく騒がない。「食料の自給力は、これを必要としない」である。諸国民の公正と信義に信頼していれば、食料は必ず手に入れられると思っている。
「平和ボケ」というが、同程度以上に「食料ボケ」だ。

・・・ということが、私が農業を日本の「未来産業」と考える根拠である。
産業の存続には「需要」が要る。需要とは「不足している」ことである。日本には巨大不足(=巨大需要)が存在する。なにしろ必要量の半分も自国に無いのだ。
その日本で、「農地面積は年々減少」している。
農業人口も減少・高齢化している。(「日本の農業人口はどう推移している?」)
訳がわからない。

かつて「減反政策」というのがあった。1971年度に本格導入され2018年に廃止された。私は未だにこの政策の意味がわからない。完全な失政だったと思う。
時期にずれがあり事情も異なるが、八郎潟諫早湾の干拓は、「農地拡大」が大きな理由だった。
宍道湖・淡水化干拓事業というのもあった。農業用水利用が目的だった。でありながら「減反政策」をやったのだ。

大きな市場がある。作れば売れる(価格的に競争力があれば)。しかも日本人は日本のものが大好きな人たちである。日用品でも[日本製]は大きいセールスポイントになっている。
この好条件の中で、なぜ日本の農業力は減衰しているのだろう。端的には、なぜ、従事者が増えないのだろうか。特に若者がどうして加わってこないのか。

繰り返すが、
国・国民の、存続生存の基礎条件である食料の、
過半数量を他国に依存している。
命をひとに預けているのだ。
どうして日本人は平気なのか。
政治もマスコミも、なぜ語らないのか。(まあ、本質的なことを政治もマスコミも語ったことはないが)
価格的な競争力は、「やり方」によって向上すると思う。そうは思うが、そのことを私が論ずることはできない。知識も経験もない。何にも知らないのだ。
関係者は必死に努力しているだろう。ただ、「政治の方向付け=国の意志」によって、それらの努力は、より効果的になる。そうするのが「政治」であり、「政治家」だと思う。

まったくの素人目だが、「やり方がある」と思うのだ。
やり方があると思うことが、「未来性」「未来産業」と思うことである。
政策の面もあるだろう。関係者の間で利害の相反があるだろう。そこに「政治」が関与しなければならない。

私の認識では「目的の設定」が明確でない気がする。「目的の設定」とは「行き場所を決める」ことだ。それがなければどっちへ向かって進めばいいか分からない。

岸田首相は、次のように宣言した。
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COP26世界リーダーズ・サミット 岸田総理スピーチ
令和3年11月2日
「2050年カーボンニュートラル」。日本は、これを、新たに策定した長期戦略の下、実現してまいります。2030年度に、温室効果ガスを、2013年度比で46パーセント削減することを目指し、さらに、50パーセントの高みに向け挑戦を続けていくことをお約束いたします。
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「日本は、20**年までに、食料自給率100%を達成する」と、
主幹「政策」として宣言してほしい。
カロリーベースで、
「自国食料生産量+(食料輸出量-食料輸入量)」=「自国食料必要量」
を成しとげる。

日本が閉鎖的「自給自足」をすべきとは思わない。絶対においしい外国の食べものがある。私の乏しい経験範囲だが、ハム等「肉加工製品」、バター・チーズ等酪農製品には、日本では将来とも及ぶまいと思えるものがある。他にもいっぱいあるだろう。それらは輸入すればいい。同等の国産食料品を輸出をすればいいのである。
畜産・酪農は、「飼料の輸入はしない」範囲に留めればいいと思う。牧草と自国生産飼料の範囲である。逆にこれは「飼料の国産化」増大=「荒廃農地・耕作放棄地の活用」につながると思う。


最近、高橋久美子さんの、『その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱 』という本を読んだ。
Amazonのレビュー欄に、私は以下の投稿をした。
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農業は「未来産業」である
農業関連は、若者を惹きつけるに足る「大きな可能性」を持つと思います。農機、施設技術を含めてです。作物の生産技術は勿論周辺技術も「世界平和」に大きな貢献ができると信じます。政治家ももっともっと「農業」に関心を持ってもらいたい。
農地そのものの面積縮小、荒廃農地の拡大、代わってメガソーラーパネルが地表を覆い、「再生可能エネルギー」の美名のもとで「再生不可能」な自然環境・景観、地域の歴史が、壊されています。
私は農業に素人ですが、「太陽エネルギーを取り入れる能力」は、「植物・生物」に勝るものはないと信じます。神様はそのように生物を作ったと思います。
私は昨年、60年ぶりに古里にリターンした老人(最終高齢者)です。近くに広大な田畠が広がり、いつも散歩しています。幸い、目立つソーラーパネル施設はありません。この美しい広がりが続くよう、祈っています。
高橋さんの更なるご活躍を、注視いたします。
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ここに記したように、日本の「農機」も、大きな可能性を持っている。
私の散歩道に広大な「田んぼ」がある。
そこでいろんな農機をみるたびに、これは世界的に、販売の可能性があると思った。調べてみると農機メーカーは、私などが気づくまでもなく、当然、そのような展開をしている。
衝動的にそのメーカーの株を買った。あとで調べると瞬間値に近い、その会社の史上最高値だった。・・・
私は後悔していない。日本の農機は、世界の農業に貢献すると信じる。

現在ある機械の改良はあたりまえに、いま無いものを、世界を視野に開発している。多くのメーカーがそれに取り組んでいるだろう。例えば、
AIの「眼」を持つロボットが、農業の新たな地平を開く
デンソー、オランダの施設園芸事業者セルトングループに出資

ドローン水稲種子直播で特許を申請した生産者の勝算

これらは農作業の効率化、農業者の減少・高齢化を補うものであり、同時に若者を惹きつけるに足る技術と思う。

始めに戻るが、「日本の食品系廃棄物は、食品系総輸入量に匹敵する」なら、廃棄物をゼロにすれば(=全部食べてしまえば)、食料自給率は100%になり、しかも廃棄物処理費もゼロになる。勿論廃棄しているもので「食えない」あるいは「食えないと思っている」部分がある。その割合は私にはわからない。
しかし「食えないと思っているもの」を食べられるようにすれば、しかもその中に重要な栄養が含まれているなら、
1. 食料自給率の改善
2. 栄養取得の好バランス化(健康の増進=本人の幸福=医療費の減少)
3. 廃棄物処理費の削減(収集運搬作業を含めたCO2発生量の削減)
いいことづくめである。

[ZENB]
今までは捨てられてきた植物の皮、芯、さや、種、わた。それらを余すところなく使うことで、資源の効果的な活用になると「ZENB」は考えます。野菜、豆、穀物などの素材を可能な限りまるごと使い、濃厚なおいしさも栄養も、まるごといただく。素材の旨味と栄養を引き出す技術を開発したことで「まるごとがおいしい」が実感できる商品が生まれました。(ZENBサイトより)

わが父母が教え給いしことに同じである。
この商品を開発したミツカン社の発想力と技術力に敬意と感謝をもって、愛用している。

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自分が食べものを作るようになって、「農業」をもっと知りたくなった。しかしまったくの部外者だから見当外れを書くだろう。以後、寛容をもってお読みください。
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